『決定版・男たちの大和』(辺見じゅん)

……を、やっと読了。
映画との違いでいちばんビックリしたのは、
中村獅童扮する内田兵曹は、レイテ湾海戦の大けがを
ものともせず、死を覚悟して沖縄水上特攻に参加するのだが、
原作ではなんと沖縄行きを知らずに、
山本五十六にもらった短刀をとりに大和へ戻り、
そのまま出撃ということになってしまった……という事実。
これじゃ、映画にならないよな~(^^;)。
蒼井優ちゃんに当たる女性も出てこないとか他にもいろいろ
あるのだが、やっぱり興行価値を考えると、ああいう
話と配役陣てことになるんだろうな、と納得。


しかし、映画を抜きにしてもこの本はとにかく読ませる。
凄惨な戦闘シーン、乗組員の後日談など
多くの人の視点から見たマルチアングル的手法で、
細かい事実をひとつひとつ積み上げていく。
戦後の内田の生き方も興味深く、これだけで一本の映画に
なりそうなほど面白い。
こういう軍事もののジャンルを、女性が書いた
という点も、ワタシにはビックリだった。
簡潔でムダのない文体、感情移入を排した描写、
次々出てくる専門用語に、「辺見じゅんってホントに女?」と
何回もカバーの見返しの写真を確認してしまったw