ボンドが寅さんに。

「007/カジノ・ロワイヤル」を見る。
007なんて、もうどうやっても面白くなるはずがない、と
近年の堕落ぶりを嘆いていたワタシだが、これはちょっと
新鮮な驚きに溢れた新作だ。
なんとボンドがまだ殺しの番号をもらったばかりの新米で、
女を真剣に愛してしまうという、驚天動地の展開だ。
いわば「ジェームズ・ボンド ビギンズ」、
寅さんふうにいえば「スパイはつらいよ・ベネチア慕情」と
いったところか。
結局、愛は実らずに終わるのだが、この手は一度しか
使えねえよな~。次回からは、またプレイボーイに戻るのか?
そうすると、結局前のシリーズと同じで、どん詰まりになるぞ、
と余計な心配をしてしまった。


しかし……と、ここで思い当たった。
これからのボンドは、毎回々々女を真剣に愛しては、破局
迎えるのではないか?
つまり、「007の寅さん化」である。これはなかなか
いいプランではあるまいか。
悲恋のラブストーリーという要素を入れれば
女性客もかなり呼べるし、なにより以前この日記で
「魅力がない」とメチャクチャこきおろした
ダニエル・クレイグのキャラを活かすには、これしかあるまい。
なにをやっても冴えなかった本シリーズに喝を入れるには、
これくらいやらないとダメではないだろうか?
実際、新ボンド=ダニエル・クレイグ君も、最初はナンダカナーと
思いながら見ていたのだが、話が進むにつれて、だんだん
よく見えてきたから不思議なものだ。
ついでにいうと、ヒロインのエヴァ・グリーン
雨の訪問者」のマルレーヌ・ジョベールの娘だというので、
ためつすがめつチェックしたが、母親の面影はほとんど
見出せなかった。父親似なのかな?


ともあれ、ラストでポンドが非情なスパイとしてリスタートし、
「例の」決めぜりふを吐いた直後、じゃじゃーんと入るあの曲――
そう、ごぞんじ「ジェームズ・ボンドのテーマ」!。
ここで出しますかそれを!(゚o゜)\バキ
この見事な使い方には、心底しびれた。
クレイグをニュー・ボンドとして素直に認めようと思わせる、
みごとな決め方でありました。
というわけで、次回作も期待しちゃうぞオジサンは。