映画と原作の違い

映画「紙の月」の原作小説(角田光代著)を読んだ。
映画と比較しながら読むのは面白い。
いちばん驚いたのは、 映画で光っていた小林聡美の先輩行員が
出てこないことだ。あれは映画オリジナルのキャラだったのか。
ヒロインの同級生らの余計な?筋立てがいくつもあって、
話がやや拡散している印象なのは残念なところ。


読んでいてアレ?と思ったのは、ヒロインが愛人の大学生に
クルマを買ってやるシーンがあるのだが、その車名が
書かれていないこと。ブランドものやら食べ物はしっかり
名前を明示してあるだけに、なんとも不自然な印象だ。
そのクルマの値段や社会的ステータスで、ヒロインの心理や
ふたりの関係を説明できるはずなのだが……(ちなみに映画では
BMWの3シリーズになっていた)。
まあ要するに、角田光代サンは、クルマのことをあまり
知らないし、興味もないのだろうと邪推(^_^;)。
ちょっと画竜点睛を欠くところではある。


映画では海外逃亡したヒロインがバンコクをさまよう
のだが、原作ではさらにチェンマイやら国境の町やら、
何ヶ所も転々としており、このシークエンスがけっこう長い。
このあたりは角田サン、さては好きな海外旅行を必要経費に
したかったんだな、と姑息にも考えてしまった。
そんなツッコミを入れながら、なかなかおもしろく
読めたのでありました。