志ん生ざんまい

「三人噺」(美濃部美津子著)を読む。
著者は古今亭志ん生の長女で、志ん朝の姉。
志ん生一家の貧乏三昧の暮らしぶりと、志ん生のユニークな
キャラが面白い。
芸には熱心だったが、大の酒好き。お金が入るとすぐ酒に
使ってしまう。
商売は苦手で、何度も失敗。納豆売りをしたとき、恥ずかしくて
呼び込みができない。
「人のいないところなら、声を出せるんだがな」と。それじゃ、
売れないっつーの(^_^;)。
わりに臆病で、空襲の時など、家族をほったらかして一目散に
逃げてしまったとか。まさに落語の世界の住人そのまんまのキャラだ。


売れない時代が長かったが、しかし妻は文句も言わず、家事・育児、
内職に励んで、志ん生が売れるまで支えたという。
古き良き日本の家庭、東京下町の暮らしぶりが目に浮かぶようだ。


名人となったのち有名なのは、酔って高座で寝てしまったという
エピソード。前座があわてて起こそうとしたが、客が
「寝かしといてやれよ」と言ったとか。志ん生の寝てるとこなんか、
めったに見られるもんじゃない……ということらしい。
こうなると、存在そのものが芸だ。
そして、ほどなく目のさめた志ん生は、「そういうわけで」と
噺を続けたという。
ちなみに志ん生の本名は美濃部孝蔵
志ん朝は美濃部強次、というのもなんだかおかしい。


というわけで、目下志ん生がマイブーム。
関連本を読み、YouTubeで落語を聴いている。
なかなか眠れない時など、志ん朝の落語を聴くと、気持ちよくなって
寝てしまう。なぜか心地いいんだな、これが(^_^;)