若干の疑問

アウトサイダー」(F・フォーサイス著)を読む。
ジャッカルの日」などで知られるスリラー小説の大家の自伝。
ジャッカルの日」は無類に面白かったが、これもひけをとらないほどの面白さで、あっという間に読了した。


イギリス空軍のパイロットという経験を持ち、独・仏・スペイン語に堪能で、
広く世界を見てやろうという野心に燃えた若者が、通信社の特派員などの海外経験を経て、
ジャッカルの日」でベストセラー作家になるまでを、多彩なエピソードで描く。
彼のサクセスストーリーとしても面白いし、冷戦時代の雰囲気がわかるあたりも興味深い。
フォーサイスは写真を見てもイケメンであり、世界各地でけっこうモテたようだ。裏山鹿……。


自伝などというものは大体そうだが、成功してからの後半は、
あまりおもしろくはない。
とくに日本でのエピソードは平凡で、これは版元の角川の要請で、販売促進のためにむりやり入れたんだろうな……と推測した。


それにしても、「ジャッカルの日」でいまだに疑問であり、最大のツッコミどころは、あの最後の狙撃を失敗するシーンだ。
フランス人が、ああいうときに両頬にキスするという習慣を、国際的なテロリストであるジャッカルが知らなかった……というのが、なんとも不思議だ。
あっちの人は疑問に思わないのだろうか?
ともあれ、久しぶりにフォーサイスの小説をまた漁ってみようかと思ったりして。