「孤狼の血」

ティ・ジョイ大泉で、「孤狼の血」(白石和彌監督)を見る。


昭和63年(1988年)、暴力団対策法成立以前の広島を舞台に、暴力団系列の金融会社社員の失踪事件を追う刑事たちの姿や、暴力団組織間の激しい抗争を描く(ウィキより)。


久々に東映らしい、不良性感度満点の、えぐい活気に満ちた作品を見た。
なにしろ原作は、柚月裕子が「仁義なき戦い」や「県警対組織暴力」に魅せられて書いたというだけに、映画もかつての深作映画を彷彿とさせるタッチとムードが横溢している。
音楽やナレーションも懐かしいあの感じで、ワクワクする。
そしてなにより、柄の悪い広島弁の氾濫にうれしくなる。
飽きさせない展開で、2時間余りがあっという間だった。


時代が変わったなあと思うのは、「仁義〜」が地元のイメージを損なうという理由でロケを断られたのに対し、この作品は呉・広島の全面的なサポートを受けて、手間暇かけてロケをやっている、ということだ。
軍港・呉の全景を収めるショットがワイドスクリーンに展開されるのを見たとき、思わず息を呑んだ。深作がこれを撮れていたら、「仁義〜」も、かなり印象の違う映画になっていたことだろう。
また別の「仁義〜」や「県警〜」のイメージが、頭の中でいろいろ膨らんでしまった。映画ファンのかなわぬ夢、ってところか。


しかし気になることも。
「仁義〜」シリーズで、「なんて怖い街だ」と全国に知らしめた広島・呉の悪い(?)イメージを、先だっての「この世界の片隅に」でせっかく挽回したのに、この作品でまた悪くしてしまったではないか!?――と、あらぬ心配をしてしまった。
しかしまあいまどき、話題になるのはいいことだ。呉・広島地域は、これらの映画のおかげで、相当な観光PRができたわけで、聖地巡礼に訪れる人がどっと増えることだろう。
私だって、じっくり訪ねてみたいぐらいだ(^_^;)


とにかく、久々の東映マークに興奮した。
今年の映画賞レースでは、きっと各賞を獲りまくるに違いない。
今年見た邦画では、ダントツのNo.1に決定!(これしか見てないけどw)