いつキレる?

ツタヤの夢の旧作で、『スウィート17モンスター』(2016年、ケリー・フレモン・クレイグ監督)を見る。


(粗筋――ウィキより)
高校2年生のネイディーン・フランクリン(演:ヘイリー・スタインフェルド)は、自己嫌悪しがちで、妄想から来る喋りが止まらない「こじらせ女子」。彼女は何事に付けても勝ち組で、母モナ(演:キーラ・セジウィック)のお気に入りな兄ダリアン(演:ブレイク・ジェンナー)を疎ましく思っている。小学生の頃いじめられっ子だったネイディーンは、唯一の親友クリスタ(演:ヘイリー・ルー・リチャードソン)を心の支えに生きていたが、彼女が天敵の兄ダリアンと交際を始めたことで関係が破綻する。


……という青春コメディドラマ。ヒロインのこじらせ方、自己中ぶり、思い込みの激しさに、つい引き込まれてしまう。自分で自分を持て余すというか、ついバカなことをやってしまったり、周囲に八つ当たりしたり……。いかにもこの年頃はこうだよな、と誰しも思い当たる節のある、普遍性のある物語になっている。
監督は30代なかばの女性で、脚本も書いている。かなりの部分、自分の体験だろう。
ちなみにネットで拾った写真だと、けっこうな美人さん。女優としてもいけるのではないか?


こういう小さな話をうまく見せて、しかも深刻にならないコメディに仕上げてしまうあたり、ハリウッドはあなどれない。
主演のヘイリー・スタインフェルドがとてもチャーミングだ。「トゥルー・グリット」の天才子役から、はやくも6年。大物感が漂っていて、この先が楽しみだ。
それに、教師役のウディ・ハレルソンがなんともいい味を出している。「スリー・ビルボード」の保安官といい、キレないハレルソンというのも、いいもんだ。
こういう、すぐキレそうな人が温厚な役を演じるというのは、「実はいつキレるのか?」というスリリングな期待を抱かせて、うまいキャスティングだと思う。


日本でいえば、ピエール瀧か。犯罪者も刑事も右翼も自衛官も職人も似合っているが、おとなしい教師とか平凡な公務員をやらせたら、面白いと思う。
先日、CSでたまたま「ピエール瀧のしょんないテレビ」という脱力系パラエティ番組を見てしまったのだが、彼が終始ニコニコしているのが面白くもあり、反面怖くもあって、なかなかに惹きつけられたのだった(^_^;)