本人だもの

ツタヤの高すぎ新作で「15時17分、パリ行き」(クリント・イーストウッド監督)を見る。
パリ行き高速列車の車内で発生したテロ事件を阻止した、勇気ある3人のアメリカ人青年の話。


なにより驚くのは、主人公の3人を本人たちが演じているというところ。
演技もセリフもごくスムーズで、まったく不自然なところがない。これは演出家としては相当な冒険だと思うのだが、イーストウッドはわりと簡単に決めたようだ。
列車に乗り合わせて負傷した乗客も、そのまんまの役で出ているのに、これまたビックリ。


これって、究極のリアリズム演出ではないか?
黒澤明でさえ、「トラトラトラ!」で軍人役に素人を大量に起用し、失敗したぐらいだ。
素人を使うというのが、いかに冒険(無謀?)かは、考えなくても分かることだ。


映画としてはシンプルな構成で、中盤はまんま旅行のシーンだけという、ある意味リアルな話ではある。
しかし、退屈しないのは演出のなせる技か?
ある意味、ハリウッドの盛りに盛る映画を皮肉っているような気も……。


主人公たちがなんのためらいもなく、テロリストに立ち向かうところは、やはり銃の扱いに慣れ、格闘技も修めている自信から来るものだろう。
その意味では、銃社会アメリカを否定できない……というジレンマもあったりして。
とにかく、いろいろ考えさせられる映画ではありました。
無条件に面白いからおすすめ!とは言えないけど。


最後に、3人を称えるレジオン・ドヌール勲章の授与式があり、オランド大統領が出てくる。
お、これまで本人かよ!と驚いたものだが、クレジットロールを見ると、さすがにこれは役者のそっくりさんだった。
うーむ、このどんでん返し! 
ある意味、ここが一番のサプライズだった(^_^;)。


それにしても、87歳にして冒険精神の衰えないイーストウッドにビックリ、である。
オレもがんばろっと(何を? w)