報酬は?

いま見てみたい映画は、「恐怖の報酬・オリジナル完全版」(W・フリードキン監督)である。1977年の短縮版は公開当時見たのだが、あまり感心しなかった。こんどの完全版は2時間あり、かなり評価が高い。


しかし……いまのところ、行くのをためらっている。
ひとつは、後出しの完全版とかディレクターズカット版というヤツで、あまり感心したものがないせいだ。
地獄の黙示録」の特別完全版なんか、蛇足なシーンばかり付いて監督の意図がわからなくなり、最初のでいいじゃん!と思ったもんな(^_^;)


そもそも77年の短縮版を見たとき、1953年のオリジナルの方がはるかにいい、と思った。
重量級のサスペンス描写はもちろんだが、イブ・モンタンの存在が大きかったように思う。なにしろイブ・モンタンといえば、華やかな経歴を持つシャンソン歌手である。オサレなパリジャンだ。
そんなキャラゆえに、ベネズエラくんだりの田舎町で落魄の日々を過ごしているというイメージの落差が、観客の感情移入を呼ぶ。
ここから抜け出したいという主人公のあせりやモチベーションに共感を覚え、応援したくなるのだ。
その点、77年版の主役はロイ・シャイダー……華やかなイメージがないので、映画全体が暗いイメージに終始してしまった。


もっとも……と、また考え直す。
30分も増えていれば(最初のバージョンに戻っただけだが)、かなり説得力が増している可能性もある。
七人の侍」だって、2時間40分の海外版より、3時間27分のオリジナル版のほうが絶対に面白いもんな〜。
77年版とは全然違うイメージになっている可能性はある。


しかし、やはり期待はずれの可能性もありそうな……と、さらに迷ってしまうオレ。
予想では、結局のところ53年のオリジナルがいちばん良かった、という結論になりそうな気がする。
こんなに迷っている間に行け、という話なのだが、まあ映画は見る前がいちばん楽しいという気もしたりして……(^_^;)


まあとりあえず、近々見に行くことにしよう。
期待の報酬は期待せずに……(?)