デコちゃん

「煙のようになって消えていきたいの ――高峰秀子が遺した言葉」(斎藤明美著)を読む。
著者は高峰秀子の養女。高峰から聞いた言葉を集めている。
「俳優もスタッフも、だれかれの区別なくみんなが平等に一本のくぎであった」、「心を寄せる相手が痛い時は、自分も痛い」、「人間、死ぬまで勉強です」etc. どれも薀蓄に富んだ沁みる言葉で、高峰秀子の人間としての奥の深さがよく分かる。


もっとも、私が一番ドキッとしたのは、別の本にあった言葉だ。著者が自分の脇腹の肉をつまんで、「この頃、太っちゃって……」とボヤいた時、彼女がきっぱりと放った一言、「緊張してたら太りません」。
座禅で坊さんに警策で背中を叩かれて、シャキッと背筋が伸びるような思いにさせられた(座禅はしたことないが)。


著者は、高峰のことを評してこういう。
「怖いほど真剣なくせにユーモラスで、冷徹なほど意志が強いのに情け深く、ついでのようにして鋭い真理を吐く」(「ダンナの骨壷」より)
高峰秀子のエッセイは、ほとんど読んでいるが、読めば読むほど、この人のことを知りたくなってくる。汲めども尽きぬ泉のようだ。
私にとって高峰秀子は、女優として人間として、大いなる畏敬の対象である。
目の前にいたら、「アラー!」と叫んで平伏してしまうかも(^_^;)


高峰秀子のエッセイには、夫・松山善三と長年暮らした麻布台の家のことがよく出てくる。
読んでいるうちに、間取りとか雰囲気まで、イメージが浮かぶようになった。
私はミーハーではないが、この家には、いつか行ってみたいと思っている(^_^;)。写真も撮っちゃうぞと。
ちなみにエッセイの記述やグーグルマップにより、場所は調査済みだ(←ミーハーじゃんw)