長けりゃいいってもんだ?
CSで『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ エクステンデッド版』を放映していたので、つい見てしまう。
一時期かなりハマっていた、好きな映画だ。
1984年の公開時には封切りで見たし、その後LD(レーザーディスク。死語?w)も買って、擦り切れるほど見たものだ。
オリジナル劇場公開版が144分だったのに対し、今回のバージョンはなんと251分もある。
逆にいうと、どんだけ切っちゃったんだ!という話である。出番をカットされた俳優は、たまらんだろうなあ~。
はたして今回、どんなシーンが加えられたのか?と興味津々で見たが、結果は大満足。数多くの未見のシーンやエピソードにビックリし、「レオーネはこんなシーンまで撮っていたのか!」と感心することしきりだった。
「ゴッドファーザー」なんかもそうだが、この種の映画は長いほど面白い。蛇足と思えるようなエピソードでも嬉しいものだ。いつまでも見ていたい、と思わせる魅力がある。
あらためて、レオーネの絵の作り込みの凄さ、ゲップが出そうな完璧主義には感心させられた。これが遺作になったわけだが、しみじみ惜しい。この調子でもっと彼の作品を見たかったなあ。
ただ、昔も思った決定的な疑問は、やはり解消されなかった。
(以下ネタバレ、注意)死んだと思っていた親友がじつは生きていて、金も女も奪い、その上出世して国務長官にまで登り詰めていた――という衝撃の事実を、主人公は最後に知る。
しかし、これはちょっとムリがあるのではないか。
国務長官ともなれば、しょっちゅう新聞やテレビで報道されるはずだから、主人公が30年もそれに気づかないのはおかしい……と思うわけだ。
そんなに長い間、主人公はいったいどこに住んでいたんだ!?という話である。新聞も読んでなかったのか? 電波の届かない山奥にでもいたのか? その間、生活費はどうやって稼いでいたんだ?
――といろいろ突っ込みたくなってしまう。
ちなみに主人公は、30年前にすべてを失い、失意のあまりニューヨークを去って、バッファローへ向かったという設定になっている。バッファローって、そんなに田舎なのか? 調べてみると、そんなこともなさそうだが……?
ラスト、アヘンで朦朧となったデ・ニーロの浮かべる不気味な笑いは、人生なんてひとときの夢……と語っているかのようだ。
ここでなぜか、「柳生一族の陰謀」の錦之介の「夢じゃ、夢じゃ……」というセリフがピッタリだなあと思ったのは、私だけでありましょうか?(^_^;)
とまあ疑問は消えないままだが、そこはそれ、レオーネの演出力に免じて許してあげよう。あ~、満腹になったヨ!(^_^;)