長けりゃいいってもんだ(?)

ツタヤの高すぎ新作で、「恐怖の報酬 オリジナル完全版」(ウィリアム・フリードキン監督)を見る。昔見た77年版は、不入りで頭に来た配給会社が、フリードキンに断らずに30分カットしたものだという。

 

だいたい映画というのは、最初に公開したバージョンが一番良くて、ディレクターズカット版とか全長版とかいうのは、およそつまらなくなるものが多い。

ところが、これは正反対で驚いた。

傑作ではないか!

 

全体の印象が、かなり違う。77年版では駆け足気味でよく分からなかった4人の男たちの背景をじっくり説明しているので、感情移入してしまうのだ。

したがって、その後に展開される、おんぼろトラックでのニトロ運搬という地獄巡りのスリルが、いやが上にも盛り上がる。死なないでほしい、無事に戻ってほしい――と、つい4人を応援してしまうのだ。

 

吹きすさぶ雨風のなか、朽ちた吊橋を這うように渡るシーンは圧倒的な迫力で、いま見ても心臓を締めつけられるようだ。

撮影の裏話によると、トラックは本当に5回転落したとか(^_^;)。CGのない時代の、まさに本物の迫力だ。

ちなみにクレジットロールによると、スタント・コーディネーターはバド・イーキンス。マックィーンの親友で、「大脱走」などでスタンドインを務めた人だ。

 

なんとも救いのないエンディングに唖然とするが、これが不入りの原因のひとつではないか?と思った。

なにしろ当時は、ハッピーなSFファンタジーの「スターウォーズ」が大ヒットしていたのだから……

時代に合わなかったのだろう。

 

つい2回見てしまった。やはりフリードキンの演出力は大したものだ。触れ込みの通り、彼の最高傑作、といっていいかも知れない。

その後の彼の不遇を思うと、残念な気持ちになるが……

 

それにしても、前半の長さが違うだけ(たぶん)で、これだけ印象が違うとは。映画って不思議だな、としみじみ思う。

やはり、いいジャンプをするには適度な助走距離が必要なんだな……とは、いま思いついた喩えであります(^_^;)