教訓

Tジョイ大泉で「リチャード・ジュエル」(C・イーストウッド監督)を見る。

アトランタオリンピックの際、コンサート会場で爆発物を発見した警備員が英雄と賞賛されたものの、そのあと犯人と疑われてしまう……という冤罪もの。

89歳という高齢ながら、さすがにイースウッド、手際の良い語り口で、2時間あまりの長丁場を退屈させない。

しかしなんといっても地味な内容。ヒーローも美男美女も登場しない実話だけに、ドラマティックな盛り上がりには欠ける。これは素材ゆえの限界というところだろう。満足感は「運び屋」ぐらいか。

 

最後のクレジットロールによると、えらい肥満体の主人公は、44歳で死去したとか。やはり血圧とか心臓とか、いろいろ問題を抱えていたんだろうな。デブは危険――というのが一番のメッセージ?に思えてしまった(^_^;)

 

もうひとつこの映画の教訓は、もし何かの事件の被疑者に仕立てられたとき、個人のなんでもない性癖や習慣が、マスコミによって暴かれ、すべて怪しいと捉えられることだ。

この主人公は警官志望の真面目な男だが、肥満体の独身で、母親とふたり暮らし。銃砲類を多数所持していたことも容疑に拍車をかけた(鹿狩りが趣味だったとか)。

ワタシの場合なら、「昼間っから西荻を自転車でフラフラしているのを見かけた」とか、「○○書店で立ち読みばかりしていた」とか、「よくコンビニのイートインで長居していた」とか、いろいろ書き立てられそうだ(ホントだけど)。

「なんか怪しいと思ってたんですよね……」とか、近所の住民の証言もあったりして。

これはかなわん、というのは考えすぎか。いやいや、ついそこまで考えてしまう映画でしたよ……くわばらくわばら(^_^;)