聖地再現

ツタヤの高すぎ新作で「サッドヒルを掘り返せ」を見る。

(以下、本作のサイトより)

マカロニ・ウエスタンの名作『続・夕陽のガンマン』における伝説のシーンの舞台となった「サッドヒル墓地」。墓地といっても、撮影用に作られた大きな墓地で、そこには誰も埋まっていない。2015年10月、スペインのブルゴス。草や土に埋もれたまま50年近くもの間人知れず眠っていたサッドヒル墓地を掘り返し、再び命を吹き込もうとする有志のファンたちによる巨大プロジェクトが始まった。そのニュースは瞬く間に広まり、毎週末、ヨーロッパ中の映画ファンがクワやスキやシャベルを担いでスペインの荒野へ駆けつけた。そして、誰かに頼まれたわけでもなく、褒められるためでもなく、大金が埋まっているわけでもないが、それぞれの想いを胸にひたすら掘った――“記憶”を辿るようにして。

 

……とまあ、そんなドキュメンタリー映画

なにしろ『続・夕陽のガンマン』のクライマックスの三角決闘が行われた墓地は、当時スペイン軍の協力で造られたもので、長い歳月を経てかなりの厚さの土砂に埋まっていた。それを少しずつみんなで掘り起こしていく、地道な作業が描かれる。

やがてあの3人が対峙した石畳が徐々に現れてきたとき、思わず「おお!」と胸アツになってしまった。

さらに周囲の石垣を積み上げ、無数の墓標を立て……と、誰に言われたわけでもないのに、ディテールを再現していく。聖地巡礼ならぬ、聖地再現だ。

 

そして、完成した墓地にファンが集まって上映会が行われる。余興?としてイーストウッド、L・V・クリーフ、E・ウォラックに扮した3人が、あの三角決闘を演じてみせる。う〜ん、羨ましいぞ、オレもやってみたい(^_^;)。もちろんイーストウッドの役で、ポンチョを羽織って。

ちなみに、L・V・クリーフが撃たれて落ちる埋葬用の穴まで、ちゃんと掘ってあったのには、ビックリしたり笑ったり。そこまでやるか。

 

このイベントのためにあらかじめ撮られた関係者のインタビュー映像も上映される。

当時のスタッフの面々、エンニオ・モリコーネ、そして最後に、イーストウッドが画面に登場したときの、観客の驚きと喝采ったら……。こっちまで目頭が熱くなってしまった(^_^;)

映画好き、とりわけ『続・夕陽のガンマン』好きのファンにはたまらない、至福を味わえる作品だった。

スター・ウォーズ」を見たあと、チャンバラをしたくなる人なら、この気持は分かるだろう(^_^;)

 

それにしても、クラウドファンディングも含め、国際的な広がりの規模で進められた、自発的プロジェクト。みんな、映画好きにもほどがある。

「海街diary」を見て湘南を聖地巡礼したぐらいのオレなんぞ、まだまだ甘い?と思わされた映画でありました(^_^;)