映画ラブ?

ツタヤの高すぎ新作で「ラスト・ムービースター」を見る。

(あらすじ――ネットより)

かつて映画スターとして一時代を築くも、今は落ちぶれたヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)に、ある映画祭から功労賞受賞の招待状が届く。ヴィックは、歴代受賞者がクリント・イーストウッドらと聞いて参加するが、映画オタクの若者による自主上映会のような映画祭と知り腹を立てる。だが会場は故郷のノックスビルの近くで、彼の胸に懐かしい思い出が去来する。

 

バート・レイノルズの最後の主演作にして遺作。これは意外なほどの良作だった。

年老いてすっかり落ちぶれた往年の大スターが、自らの来し方をしみじみ振り返る。故郷の家に戻って昔を懐かしみ、最初の妻に会って贖罪する。そんなしんみりくる役を、彼が演じているのも意外というか、彼だからハマっているというか……なかなかいい味わいを出していた。

バート・レイノルズといえば、思い出すのは「トランザム7000」とか「ロンゲスト・ヤード」とか、男くさいアクション映画ばかり。マッチョでセクシーが売りもののアクション専門のスター……というイメージしかないが、この映画の主人公を重ねてみると、そんな彼にも、いろんな屈託があったんだろうな……としんみり考えてしまった。

いわば、小津安二郎的諦観の映画。そう考えると、バート・レイノルズ笠智衆に見えてくるのだから、不思議なものだ(^_^;)。

 

もうひとつのポイントは、作中で描かれるショボい映画祭。アカデミー賞のような立派な会場ではなく、地元のバーで開く、仲間うちの上映会といった風情だ。

かつて「シャル・ウィ・ダンス」を持ってアメリカ中を旅した周防正行の体験記によると、どこだかの田舎町で催された映画祭で表彰されたのだが、その賞がどの程度権威があるのか、さっぱりわからなかった……という笑い話が印象的だった。

アメリカには、こういう映画祭がいっぱいあるようだ。

しかし、この映画に出てくる映画祭の主催者――映画オタクたちからは、映画愛が溢れるように感じられた。

このショボさに怒った主人公も、最後には彼らの愛を受け入れて、賞を受け取る。世間の評価はどうあろうと、自分と自分の映画を愛してくれる人が確かにいる幸せを、掛け替えのないものとして受け止めるのだ。

 

「サッドヒルを掘り返せ」と一緒に借りてきたのだが、どちらも映画への愛にほっこりさせられる作品だった。ええ話やなあ……(古い?)