いまそこにある銃

『あなたに不利な証拠として』(R・L・ドラモンド)を読む。
元女性警官の作家による短編小説集。
さすが本職だけに、死体の描写や犯行現場で犯人と対峙する
緊張感など、並はずれたリアリティに圧倒される。
生きることの意味や警官という仕事の不条理などを、
現場の女性警官という、従来にない視点から突きつけて印象的だ。


映画によく登場する、警官が銃を持った
(あるいは隠している)相手と対峙するシーンも、
画面で見るとそれほどでもないが、文章でこうまで細かく
描写されると、死と直面する恐怖がぞくぞく伝わってくる。


読んだあとに思うのは、銃が身近にある社会の
「すぐ撃てる」「いつでも殺せる」という短絡の恐怖だ。
映画『ボウリング・フォー・コロンパイン』でも描かれていたが、
銃で年間何万人も死んでいるのに、アメリカ人は決して銃を
手放そうとしない。
これはもう宿痾のようなものなんだろうな……。
もっとも、銃社会が完全に規制されたら、いちばん困るのは
ハリウッドだったりして……(^^;)。