巨魁

「巨魁」(清武 英利)を読む。
巨人のGMとして働いてきた清武が、ついにオーナーの
ナベツネに宣戦布告をするまでを描いた話題(?)作。
なんといっても読みどころはナベツネの言動であり
人となりである。傍若無人、他人の悪口も言いたい放題の上に、
高齢ゆえか、物覚えが悪くなり、前言っていたことを
すぐひっくり返すとか、野球についてはなにも知らないので
ビックリするような初心者的な質問をするとか、正直、
こんな人間のそばにいたら卓袱台をひっくり返したく
なるだろうなあ――と著者に同情してしまった(結局、
清武はそうしたわけだが)。
そして何よりこういう人間が、新聞社のトップとして
世論をリードしているという現状が、なにより情けないと
いうか、ゾッとするというか、ともかく不快感の残る本だった。
じつは、清武がGMとしてけっこう真っ当な仕事をしたことも
書いてあるのだが、そっちのほうはさっぱり印象に
残らなかった(^^;)。
これも妖怪、いや巨魁のパワーゆえか。