クルマの時代

自動車評論家の徳大寺有恒が亡くなった。
長年患っていた糖尿病が引き金になったのだろう。
美食家で酒好き、タバコ好き。しかもしょっちゅうクルマを
使っていたわけだから、健康にいいわけはない。
いつだったか、自転車雑誌で健康のために自転車を始めた、
みたいな話もしていたが、その後続報がなかったのを見ると、
挫折したのだろう。
もし目の前にいたら、「せめて糖質やめろ!」と忠告して
あげたのだが(^_^;)。
しかし、自動車評論家として一時代を築いたわけだし、
うまいものも食って海外にも行けて、本人としてはけっこう
満足度の高い人生だったのではないか。


毎年12月の頭になると店頭に並ぶ「間違いだらけのクルマ選び」は、
読むのが楽しみな本だった。
クルマは買わずとも、彼の批評を読んで頭のなかでカーライフを
楽しむ……そんな時代が確実にあった。
それはバブルの時代と、ほぼ重なっていた。みんな、次はどんな
クルマがいいか?なんてことばっかり話していた。
ワタシの回りでも、ホンダNSXを買おうかな、などとほざく
同業者がいたので、のけぞったものだ(^_^;)。


若者がクルマへの興味をなくし、スマホばかりいじっているいま。
徳大寺の死去は、そんな“みんながクルマに熱中していた時代”
の終わりを、あらためて感じさせるものでありました。