ミラノ座の思い出

新宿ミラノ座が年内いっぱいで閉館するとか。
学生時代、クラスの友人たちと「大脱走」のリバイバル上映を
見に行ったことを思い出す。
あの頃はビデオもネットもなかったので、好きな映画は
映画館での再上映でしか、見る機会はなかったのだ。
最初に「大脱走」を見たのはたしか中2の時だったから、
印象は鮮烈で、その記憶を語り合いつつ、みなわくわくしなが
らミラノ座へ行った。


しかし、意外なことに、見たあと、それほど興奮はしなかった。
「え、こんなもんだっけ?」と、むしろ落胆したくらいだった。
映画に関する記憶は、自由に見られないゆえに、長い間に
心のなかで美化される、ということを知ったのでありました。


でもミラノ座の大画面は、たしかに迫力があった。
席が最前列くらいしか空いてなくて、スクリーンを仰ぎ見る
ようにして映画を見た。館内から溢れるほどの観客と一緒に映画を
見るという体験も、いまとなっては懐かしい。


いまはシネコン全盛で、快適ではあるが「映画館」に関する
記憶はフラットだ。
大脱走」はミラノ座、「異邦人」は高田馬場パール座、
東映任侠映画は新宿昭和館……と、見た映画と映画館の記憶が
分かちがたく結びついて甦るのが、あの時代のいいところだろう。


まあワタシの場合、出かけるのはせいぜいTジョイ大泉とか
ユナイテッドシネマとしまえんくらいで、映画を見にわざわざ
都心に出ることもなくなってしまったのだが。
これも時代のせい?(^_^;)。