クリスマスにキャロルと出会う話(?)

話題の映画「キャロル」が公開されるのを前に、原作を
読んでみた。パトリシア・ハイスミスによる小説は、いまから
65年前に書かれたものだが、同性愛がタブーとされていた
時代だけに、別名で発表されたという。


女性ふたりの愛のゆくえをディテール豊かに描いて、さすが
女性作家だと思わされた。
結末がどうなるかハラハラしていたが、最後はほのかに心温まる
ハッピーエンド。これは同性愛者であったハイスミスの、
あらまほしき願望でもあり、世間へのプロテストでも
あったのだろうか。
ハイスミスは「太陽がいっぱい」「見知らぬ乗客」など、
サスペンス作家として有名だが、本作は「ブロークバック・
マウンテン」の女性版といえる、切ない愛の物語になっていた。
これは映画が楽しみだ。
ちなみに、主人公の女性が初めてキャロルと出会うのは、
クリスマスのデパート。
これって「クリスマス・キャロル」って、ベタなギャグ?
……んなわけないか(^_^;)


小説はけっこう長いが、挫折せずに読めた。
なにしろ映画ではケイト・ブランシェットルーニー・マーラ
という、いまをときめく演技派が演じているので、
二人の表情やしぐさを想像しながら読むと、シーンの一つ一つが
浮かび上がってくるようで、スムーズに読み進むことができた。
そして逆に、小説の印象からしても、このキャスティングは
これ以上は望めない絶妙の組み合わせだと思った次第。


しかし、懸念がひとつある。
映画は明日から公開ということで、劇場を調べてみたら、なんと
吉祥寺プラザでやるという。歩いても行けちゃう近さだ。
シネコンに慣れた身には、あの昭和な雰囲気はちと
違和感があるのだが……(^_^;)