力道山のこと

きょうの新聞の投書欄に、力道山のことが出ていた。
力道山といえば、われらがスーパーヒーロー。
外人レスラーの悪辣な反則に耐えに耐え、最後に
繰り出す空手チョップでバッタバッタと相手をなぎ倒す様は
圧倒的で、まさに水戸黄門のような勧善懲悪ドラマを
見ているようなカタルシスがあった。
それだけに、後年赤坂で刺されて亡くなったときは、
力道山も人間だったのか、と衝撃を受けた。
そしてさらにのち、朝鮮半島出身であると知ったときは、
複雑な思いにとらわれた。裏切られたような気がした。


しかし彼の内面を考えると、自身のアイデンティティ
抱えつつ、かつての敵国のヒーローとして大人気を集めるという
ねじれたジレンマに、どれほど悩んだことか。
国家とか民族という概念の残酷さ、
複雑さに思いが至った、最初の事件だった。
逆にいえば、表現者としての凄さに、国境も民族も
関係ないことを教えてくれたのも、彼だった。
だからこそ、死後かなりの年月がたったいまも、
私のなかの力道山はあくまでも神々しく、
ヒーローとして光り輝いている。


ちなみにいまでも外国人のことをつい「外人」と
言ってしまうのは、外人レスラーとか外人組とかの
プロレス用語が、身に染みついているからであります。
外国人のみなさん、スミマセン(^^;)