英国人? 日本人?

●「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ)を読む。
近未来SF的設定の、驚天動地の展開。
過酷な運命を生きるしかない人たちの、切なく悲しい物語に
引き込まれて、アッという間に読了。
これは映画になりそうだ。
しかし、タイトルにもなっている歌、および歌っている人=
ジュディ・ブリッジウォーターって、架空の設定なのだろうか。
ググッても出てこない。
カズオ・イシグロは、5歳のころ父親の仕事の関係で
英国に渡り、向こうで育ったので、ほとんど英国人みたいな
もんらしい。


ところで、カズオ・イシグロといえば「日の名残り」。
映画ではA・ホプキンスが執事ひとすじの、
融通のきかない男を演じていた。
好きだったE・トンプソンに迫られるのに、結局なにも
言えない愚図なシーンで、ホプキンスが寅さんに
見えてしまったのはワタシだけだろうか?w



● 死刑!(ガキデカ風)
「刑法39条は削除せよ! 是か非か」(呉智英佐藤幹夫ほか)
を読む。
ごぞんじ、容疑者に心神喪失心神耗弱が認められると、
無罪あるいは刑の軽減になる、問題の条項である。
いろんな立場の人が賛成・反対を述べているのだが、死刑廃止
ついての、小谷野敦の弁が面白かった。


「復讐からはなにも生まれない」ということから、殺された人の
遺族が犯人を許す、あるいは「死刑にしないでほしい」と言う
ケースがままある。が、遺族は被害者ではないし、
そもそも許す、などと口にできるのは被害者だけではないのか。
私は、自分がもし殺されたら、犯人を死刑にしてほしい、と思う。
この「遺志」は尊重されないのか。


……というようなことだ。
殺された被害者の視点から言うところが、斬新で面白い。
たしかにそう言われると、私だって同じことを考える。
人ひとり殺したのなら、やはり責任は自分の命をもって
償ってもらおう、と。
しかし、むなしいのは、犯人が死刑になったとしても、つい
あの世でこう考えてしまいそうなことだ。
「結局、オレの命って、生命の大切さも知らないバカと
イーブンだったってことかよ!」とw
どっちにしても、浮かばれない話という気がするナー