はいからさん

「散るぞ悲しき」(梯久美子)を読む。
硫黄島ブーム(?)の中心に位置する本であり、けっこう
売れているようだ。渡辺謙は著者と交流があり、その意見は
硫黄島からの手紙」の演技や小道具に反映されているらしい。
映画でも描かれた、栗林中将の人柄や家族に書き送った
手紙のことが詳しく紹介され、改めて軍人としては希有な
キャラクターを持った魅力的な人物だと実感した。
生きて帰れぬ状況から妻子に綴った手紙の内容は、
なにげない日常の気配りにあふれ、ひたすら胸をうつ。


最大の悲劇は、栗林は少しでも抵抗を続けて、その間に
終戦交渉を進められれば……と考えたのに、甚大な被害を
こうむったアメリカは、これ以上日本本土進攻に犠牲は
出せないと判断して、原爆を落とした……ということだ。


それにしても、戦前に米国へ留学し、アメリカ人と親しく交わり、
新型シボレーを買ってカンザス州からワシントンまでドライブ
したという超ハイカラぶりには、恐れ入る(^^;)。
そんな栗林が、アメリカ人と血で血を洗う戦いを繰り広げるのは、
職業軍人とはいえ辛いものがあったろう。
などと思いつつ、この本を読んだおかげで、
また「硫黄島からの手紙」を見たくなってきた。