文豪

いまやノーベル文学賞も近いといわれる村上春樹のベストセラー
1Q84」(上巻)を読む。
私は性格が悪いので、本を読むとき、ついついアラ探しを
してしまう。
村上春樹くらいになると、本人も出版社も誤字誤用やミスは
相当チェックしていると思うのだが、意外にあっさり、
それが見つかった。
こんなとき、ゾクゾクするくらいうれしいw 厳重な警戒網を
突破して、重要機密をゲットするイーサン・ハントの
心境である(^^;)。


で、そのひとつ「旧弊な大型動物が目覚めて身震いする
みたいに……」(P207)とはなんじゃい。
「旧弊」とは、考え方が古いというニュアンスだ。
「旧弊なとしより」「旧弊な制度」とはいうが、
「旧弊な動物」はないだろうw
「能力のあるものをリクルートする」(P418)。ワタシの
記憶では、「リクルート」という言葉がヘッドハンティング
スカウトの意味で使われるようになったのは、ごく最近だ。
1984年には、こういう使い方は一般的にされてなかったと思う。
きわめつけは、「ヘミングウェイバハマあたりで
たむろしていた酒場」(P237)というやつだ。
「たむろする」というのは、複数の人間が集まるという
意味だから、単数形が主語なのはおかしい。


……とまあ、大いなる戦果(?)に気をよくしたわけだが、
この程度では、いまや現代の夏目漱石といわれる村上春樹
文豪の地位が揺らぐこともないだろうから、
一面むなしくもある。
それに、彼には切り札がある。かつて「風の歌を聴け」だったか、
フォルクスワーゲンのラジエターの調子が悪い」と書いて、
「ワーゲンは空冷エンジンだからラジエターはない」と指摘された
有名な件があったが、このとき「村上春樹の小説世界では、
ワーゲンにはラジエターがあるのだ」と擁護(?)されたことがある。
今回見つけたミスも、「村上春樹の小説世界では、旧弊な動物も
ヘミングウェイがたむろするのもアリなのだ」と言われれば、
ぐうの音もでない……orz 


しかし、上巻にこれくらいミスがあるのだから、下巻を
チェックするのが大いに楽しみになってきた(^^;)。
もっとも、図書館にリクエストしてある下巻は、
たしか400人待ち……ゲットしたときには、読む気が
失せてるかも(^^;)。