貧困大国アメリカ

最近もっとも衝撃的で面白かったのは、
「貧困大国アメリカ」2部作である。
最近でたパート2では、学資ローンの支払いに追われる学生、
リストラでホームレスになったサラリーマン、
民間刑務所ビジネスと、悪夢のような連鎖の構図が浮かび上がってくる。
つまり、ローンで身動きできなくなった人、ホームレスになった人を
ばんばん捕まえて刑務所に入れ、極安のコストで働かせることが、
アジアとのコスト競争に打ち勝つ手段として脚光を浴びているのだ(^^;)。
そのために民間刑務所向けの投資セミナーが活発に行われており、
そのキャッチフレーズが「成長を続ける刑務所ビジネスに、
ぜひ投資を!」云々というのだから、もう呆れてものがいえない(^^;)。
キャピタリズムの暴走ぶりにはあきれ果てるとともに、こんな国の掲げる
新自由主義なんか見習ってたら、えらいことになる……としみじみ思った。


ちなみに、パート1で描かれた経済徴兵制――貧しい者が戦争に
駆り出される仕組みも衝撃的だったが、「ハート・ロッカー」の
主人公がまさにそういう風に描かれていた。
映画の後半、休暇をもらって帰国し、自宅の雨樋を直す主人公。
雨樋に溜まった泥を、雨に濡れながら手で掻き出すあたりの描写が、
ひときわ印象的だった。
そしてラストの字幕に暗澹たる思いにかられたのは、ワタシだけではあるまい。


ちなみに、この「貧困大国アメリカ」の著者、堤未果さんの講演を
近々聴けるチャンスに恵まれた。目下の楽しみである。