日本的おもてなし

あまりに天気がいいので、お散歩。
吉祥寺から西荻へ向かうと、宮前あたりに和菓子屋さんができていた。
銀座に本店があるという。入って物色していると、お茶とゼリーを
一切れご馳走になってしまった。
すっかり敵の術中にはまってお菓子を二つ買ったら、袋に入れたまま
持って、丁寧に出口まで見送ってくれた。いやあ恐縮々々。
お菓子二つでこれだと、箱単位で買ったらどうなるのか、
怖いくらいだ(^^;)。これぞ日本的おもてなしである。


幕末や明治に日本を訪れた外国人による紀行の数々をまとめた
「逝きし世の面影」(平凡社ライブラリー)を読むと、日本人の
礼儀正しさ、金銭に対するストイックさ、質素な暮らしぶりに驚き、
感心している記述が多い。ちょっとこそばゆいくらい、
うれしく誇らしく思える。
たとえば旅先で地元の人が気軽に「まあちょっとうちに寄っていけ」と
声をかけてくる。で、お茶をご馳走になり、外国人がお金を
払おうとすると、絶対受け取らない。そういうことにいたく驚き、
感激しているのだ。この日本的おもてなしの精神こそ、
グローバリゼーションの時代を勝ち抜く武器ではないだろうか。
ちなみに下田総領事のハリスなど、「この素晴らしい民族に、
われわれの西洋近代文明を及ぼしてしまっていいのだろうか」と
悩んだりしているくらいだ。


ところで、「おもてなし」を「表無し」とこじつけると、
−→裏あり−→このサービスにはなにか意図がある?……という風にも
読める。そうか、これも日本人得意のホンネとタテマエ、
ダブルスタンダードだったのか!?(^^;)。