KAGEROUふたたび

いまだ祭り中の「KAGEROU」だが、ネットで某書評家が
この作品を批評していた。要するに、「あの小説はレベルが
低いけれども、一読して、ああ水嶋ヒロっていいヤツだなあ、と
思った」と、なんだか褒めてんだかけなしてんだか分からない
フォローをしていて、思わず笑ってしまった。


物書きとか何かを創造する人が、「いい人」と言われたら、
それは才能がない、ということではないか。
女性が、見かけもイマイチだしとりたてて取り柄のない男を
「やさしそうな人ね」と言うのに似ている。
だいたい、傑出した人というのは性格悪いに決まっている。
人のいないところに打つのが人一倍うまいイチローなんか、
見るたびに「性格わるいなあ~」と感心してしまうし(褒めている)、
宮崎駿なんかも、テレビで見るかぎり相当偏屈なオヤジだ。
一緒に仕事する人はつらいだろうなあ……と同情する。


いい小説を「うまく騙された!」と読者に感心させる
くらいのもの――と規定するなら、小説家は人一倍性格が
悪くないとダメだと思う。屈折しまくり、世の中に不満を持ち、
そのはけ口として、読者をだますことに快感を覚える、
ある種の性格破綻者。大作家って、そんな人が多いような気がする。
その伝でいくと、水嶋ヒロはイケメンだし、とにかく素直で性格が
良すぎる男……としか思えないんだな、これが(褒めてない?w)。