カナブン騒動

カナブンといっても金沢大学文学部ではない。虫のことだ。
午後6時頃、とある吉祥寺の大衆食堂。客は4、5人。
私がビールと冷や奴でいい気分に浸っていたら、店のなかを
カナブンが飛び始めた。女性がいやがって、うちわで外へ出そうとする。
他の客も立ち上がって、新聞など振り回す。
主人がドアを開けて外へ出そうとする。10坪ほどの小さな店内は、
挙国一致の非常事態である。しかしカナブンは狭い店内を
気ままに飛び回るのみ。
「やっぱり電気消したほうがいいんでは?」と私が提案して、
では消しますよと主人。暗くなった中を、カナブンはやっとテーブルに
着地し、男性客がつかんで外へ出してやった。やれやれ、一件落着。
再び灯りのついた店内で、みなそれぞれの食事に戻ったのでありました。


それにしても、カナブンのために知らぬ同士が一致協力。
まるでなでしこジャパンのような一体感とチームワークだった。
いいなあ、大衆食堂って。
……大都会の片隅の、心温まるエピソードでした(^^;)