ニューヨーク、ニューヨーク

レンタルDVDで「ビル・カニンガム&ニューヨーク」を見る。
現在85歳、ニューヨークの街角を自転車で走り回り、
ファッション写真を撮りまくるフォトグラファーを
追ったドキュメンタリーだ。


ビルは仕事ひとすじ、食べ物にも住まいにも無頓着だ。
住んでいるのはカーネギーホールの上階のアパートだが、
狭いうえにバス、トイレは共用。ネガフィルムを収めた
たくさんのキャビネットの隙間に、ベッドを置いて寝る。
そんな状態を、本人はまったく苦にしていない。
「バスやトイレはいらないよ。掃除しなきゃならんだろ」
と、あっけらかんとしたものだ。


街ゆく人を捉えるその仕事ぶりはいきいきとしてじつに
楽しそうだ。
どんな有名人でも、お仕着せのファッションを着ている
だけの相手には見向きもしない。あくまで自分の感性で
対象を選び、シャッターを押す。
その一本筋の通ったポリシーと生き方は、あきれるほど
爽やかで清々しい。
そして羨ましくもある。これだけ、自分の好きなことをして
生きていけるのだから。
その飾らない性格で、周囲の人からも愛され、
尊敬されている。じつに魅力的なキャラだ。
そして、こういう人が生き生きと闊歩しているニューヨークが、
たまらなく魅力的な街に思えてくるのだ。


ちなみに、彼の自転車は人にもらったもので、29台目。
「28台は盗まれた」そうだ。そんなところも、
いかにもニューヨークらしい……(^_^;)。