殺しの実演

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1965年、時のインドネシア大統領・スカルノスハルト
クーデターにより失脚、その後、右派勢力による
共産党員狩り」と称した大虐殺が行われ、100万人以上が
殺害されたといわれている、9月30日事件を追った作品。
(ウィキより)


共産党員とはいっても、マスヒステリー状況のなかでは、
誤認やらでっちあげもけっこうあっただろう。
つまり、無辜の市民もかなり巻き添えに
なったのではないか?ということは、容易に想像がつく。
そんな大事件であったのに、殺した当事者たちがなんの処罰も
制裁も受けず、いまも社会の要所で大手を振って
のさばっている……というのもすごいが、
その当事者たちに映画を作らせ、その場を再現させるという
手法にはビックリだ。
撮影現場では、当事者たちが、なんだかうれしそうに「こうやって
首しめたんだよ」などと得意げに実演するのに、口あんぐり。
たまらなく不愉快で暗澹とする。
もっとも、見ているうちに、その不快感を突き抜けた、ある種の
ブラックユーモアすら感じてしまうのだが……。
これは、妙に明るい彼らの熱帯気質のせいだろうか。


インドネシアってこういう国だったのか。
昔ならスカルノとデビ夫人、最近なら格闘技映画
ザ・レイド」で知っているくらいだが、こんな暗部を
抱えた国だったとは。
アジトを急襲した警察よりも、敵のほうが多くて強い、という
ザ・レイド」のあの息苦しいようなシチュエーションも、
今思えば、かの国の政治状況の暗喩であったのか、などと
考えてしまった。