造作

俳優・加藤武が亡くなった。
加藤武といえば、先日CSで放映していた、黒澤明監督
「天国と地獄」にも刑事役で出ていた。


「天国と地獄」を見ていて、いまさらながら気づいたこと。
主人公の三船敏郎の住む邸宅は瀟洒な洋館で、西洋式の
ライフスタイルであり、みんな土足のまま室内を
歩き回っているのだ。
いま見ると、なんだかムリに背伸びしてアメリカ人の
ライフスタイルを真似ているようで、違和感ありまくりだ。
さぞかし暮らしにくいだろうな……と想像してしまう。
捜査のためにやってきた仲代達矢率いる刑事たちが、
とまどうことなく靴のままリビングに入ってくるのも、
いま考えると不自然だ。
ここは、加藤武あたりが「このうち、土足で上がって
いいんですか?」と、やや抑え気味の演技でとまどうカットを
入れておけば、効果的だった……ような気もするのだが。


そう、加藤武のあの造作の大きな顔と演技は、そんな時こそ
役立つのでは?……と、今となっては思うことであります。