徴兵制

安保法制がらみで、反対理由として「徴兵制が敷かれる」云々の
意見が根強い。
そこで、「息子がドイツの徴兵制から学んだこと」
(永冶ベックマン啓子著・祥伝社新書)という本を読んでみた。
著者はドイツに住む日本人で、夫はドイツ人。
一人息子が進路選択に際して、軍隊に入ることを選んだ。
配属先は厳しい訓練で知られる山岳部隊だったが、
半年後にはすっかり見違えるほどたくましくなり、
精神的にも成長して、著者は驚いたそうだ。
だから著者は、青少年がある一時期、軍隊経験を積むことを
推奨している。


ちなみにドイツの軍隊では、訓練などで理不尽な命令を
出されても反対できるそうな。
たとえば「いまは戦争中だから、食べ物はない。虫を食え」と
命令され、実際に虫を出されたが、ある青年は反抗し、
裁判になって、上官が負けたという例があるそうだ。
訓練における物理的な暴行なども罰せられる。
きわめて合理的、民主的?な組織ではないか。
映画でよく見たものだが、理不尽な暴力が横行し、もちろん上官の
命令は絶対という、昔の日本の軍隊の惨状と比べると、
まるで天国だ(^_^;)。


まあよく言われることではあるが、いまどき徴兵制なんて
ありえないと思う。人海戦術で戦争をやるような時代ではないし、
戦場では効率性、正確性が求められる。
ハイテク機器を操るためにはそれ相応の訓練や判断力が必要に
なるし、そうした人材を育てるにはそれなりのコストがかかる。
とても素人を集めてタダ飯を食わせてる余裕は国にもないだろう。
それに、一般人をむりやり集めて戦場に駆り出し、死なれたら
このネット時代、あっという間に厭戦感情が広がるではないか。
つまり逆説的になるが、徴兵制なんか敷いていたら、
いまどきの戦争には勝てない……と思う。


もっともドイツのような軍隊制度で、 毎日うまいメシが
出るのなら、ワタシだって行ってもいいな……と一瞬
思ってしまった。
体力的にも年齢的にもムリだと思うけど(^_^;)