ルーシー・イン・ザ・スカイ?

「黒い迷宮」(早川書房刊)を読む。
2000年7月、六本木でホステスとして働いていた元英国航空の客室乗務員
ルーシー・ブラックマン(21)が、突然消息を絶った。失踪当初から事件を
追い続けた英紙《ザ・タイムズ》の東京支局長が、日英豪関係者への
10年越しの取材で真相に迫る。(ウィキより)


結局、外国人女性十数人が殺害されたとされる猟奇的な殺人事件で、
被害者の両親が来日して記者会見したり、ブレア首相が日本政府に
事件解決を申し入れたりと、けっこうな騒ぎになったことを覚えている。


下世話ながら、なぜ客室乗務員までしていた人が、外人クラブのホステスに
なるのか?という疑問を当時も抱いたものだが、読んで納得した。
当時の英国航空にあって、基本給は年収8336ポンド(約133万円)と低く、
長距離線に異動しても月給はやっと1300ポンド(約21万円)に上がった
程度だった、と。
ちょうどこの前に読んだ「機長、究極の決断」でも、パイロットやクルーの
給料が低いことが書かれていて意外に思ったものだが、かつての花形職業も、
時代の波には勝てないのか。
昔、高校の同期生が日航のスチュワーデスに採用されて、田舎では
ちょっとした騒ぎになったものだが、あの頃の輝かしいイメージとは、
隔世の感があるなあ……。


事件後、ホステスの仕事が本当はなんなのか、イギリスのタブロイド紙
議論になったことがあったが、それに対し、被害者の妹・ソフィーは、
こんな説明を思いついたという。
英国航空の仕事も、外人クラブの仕事も同じホステス。違うのは高度だけ」と。

さすがイギリス人、なかなかうまいこと言うではないか(^_^;)。


それはともかく、入念な取材と調査で読ませるノンフィクションとして
面白く、日本への文明批評としてもなかなか読み応えのある一冊だった。