名花(2)

NHK−BSで、チャスラフスカさんの追悼番組を見る。
とはいっても、去年10月に放映されたものの再放送。


東京オリンピックでの優雅な演技が思い出されて、
ひとしきり懐かしかった。
しかし五輪の後は、民主化宣言にサインしたため、
ソ連に追従したチェコ政権に圧迫され、一時期は
体操関連の仕事から追放されて、掃除婦をしていたことも
あるとか。いろいろ苦労したんだねえ……。
その後チェコ民主化によって名誉も回復され、
平和な暮らしを手に入れた。
最近では孫にも恵まれて、幸せそうな老後の暮らしがうかがえた。
しかしこの時点で、自伝を書き進めながら、複数のガンを
抱え、闘病中だったという。


ゆえに、番組の最後において、日本の視聴者に告げた
メッセージは、いま聞くととても切ない。
彼女は微笑みながら、こう言った。
「2020年に東京で会いましょう」――と。


大国に翻弄される周辺国の悲しさ、民主主義を守ることの
難しさを再認識させられた内容でもある。
とにもかくにも、スボーツマンとしてはもとより
ひとりの人間として、民主化に向けた意志を貫き通した
彼女の生き方は、立派だったと思う。