沈黙は金?

ツタヤの準新作で「サイレンス」を見る。2時間40分もある長い映画だが、さすが М・スコセッシ、画作りがうまいし飽きさせない。


昔、同じ原作の「沈黙」(篠田正浩監督)を見た時は、転んでしまった神父の悲劇性が胸を打ったものだが、今回はかなり印象が違った。
それというのも、日本が特殊な国であること、人間以上の存在はないこと、八百万の神々に囲まれていることなどのせいで、キリスト教の布教はムリだ、と先に来て転んだ神父(リーアム・ニーソン)が語る。
ここがひとつの山場で、的確な日本人論になっている。


そもそも、震災のときも暴動や盗みは起きないし、被災者同士でいたわりあうし、こんな民族は世界でも稀だ、と絶賛されたものだ。
一神教の戒律がなくても、日本人はもともとモラルの高い民族なのである。
そういう事実を踏まえると、本作の2時間40分におよぶ主人公の神父(アンドリュー・ガーフィールド)の苦労も悩みも、
「こんな畑違いの国に来ちゃったのが、そもそも間違いだよなあ……ご苦労なことで」というぐらいの感想に終わってしまったのでありました(^_^;)