ゴッデス・ハンド?

ツタヤの高すぎ新作で「女神の見えざる手」(ジョン・マッデン監督)を見る。
頭が切れて弁も立つ辣腕のロビイストを、ジェシカ・チャスティンが演じている。
目的のためには、味方も騙す。違法スレスレのことも辞さないという、強烈なキャラの持ち主だ。
性欲の処理も、デートサークルの男娼を利用する、というドライぶりにビックリ。


普通なら、「こういう人にも、かわいいところがあるんだぜい」とばかりに、家では植物の世話をしたりペットをかわいがったり……なんてシーンを入れて、観客に感情移入させるものだが、そんな描写は一切ない。
きっと何かトラウマがあったんだろうな……と思うわけだが、最後までそれは明かされない。
そこが新しいといえば新しい。
終盤、ヒロインは絶体絶命の窮地に追い込まれるのだが、あっという手で大逆転をしてみせる。
それってやりすぎじゃない?と思ったが、まあスリラーとしては見事な展開だった。


で、ドライなままで終わるのかと思ったら、最後の最後に、ふっと彼女の表情がゆるんだように見えるのだ。
その視線の先には誰がいたのか? 想像すると、ちょっと心が暖まるような思いになる。
そこまで計算してヒロイン像を組み立てていたのか……と、シナリオライターの手腕に感心した。
ともかく、ジェシカ・チャスティンにはずれなし!――としみじみ思う今日このごろであります。