最近読んだ本から

◉「平成の重大事件」(猪瀬直樹田原総一朗著)
 猪瀬 「そういう意味で、外から襲 ってくる困難を天からもたらされる自然災害のように とらえる心性が、日本人にはあるのではな いか。戦争 でもそう です。関東大震災 でほぼ 十万人が死んでいる。東京大空襲 でも十万人も死んでいる。第 二次大戦 では全体 で三百 十 万 人 。 兵 隊 だ け じ ゃな く て本 土 に い て空 襲 で殺 さ れ た 人 も 多 く 、 全 国 が 焦 土 に さ れ た 。 その敗戦を 「終戦」と言ってしまうメンタリティ、無責任というより、やっと自然災害 が過ぎ去 った、との正直な感じ方なのでしょう」


これはすとんと腑に落ちた。戦争も自然災害と同じで、どうしようもないことだが、済んだらさっさと忘れてしまいたい……と日本人は思っているのかも。
そういえば、このところの涼しさで、2、3日前の40度の猛暑もすっかり忘れてたりして……(^_^;)


◉「ワンダー」(R・J・パラシオ著)
映画「ワンダー 君は太陽」の原作。映画も良かったが、この本もやはり良かった。万人にオススメしたい。
ラスト、差別されていた主人公が、周囲に良い影響を与えたとして、修了式で表彰される。

校長の表彰のスピーチで、「もっとも偉大な人とは、自分自身の魅力で多くの心を動かす力を持っている 」という言葉が印象的だった。とりあえず、スティーブ・ジョブズあたりを思い出した。
それにしても、アメリカ人って、表彰式をクライマックスに持ってくるのが好きだなあ。
アカデミー賞の授賞式の影響は大きいんだなあ……とオモタ(オレも好きだけどw)


◉「太平洋戦争航空史話(上・下)」(秦郁彦著)
秦郁彦慰安婦問題などで知られる歴史学者だが、こういうミリオタな分野も詳しいとは意外だった(^_^;)。
いろいろな航空戦のエピソードが紹介されるが、なかでも「松山343空始末記」の話が面白かった。
最新鋭機・紫電改を駆使して、戦争末期に活躍した部隊で、「太平洋の翼」という映画にもなっている。
ところが、当初はけっこうな戦果を挙げたものの、だんだん兵力差のせいで押され気味になっていく。


「この少兵力ではへたに正面からやりあっても不得策と見た源田大佐は、南九州各地へ空襲をかけて帰路についていた米艦載機 の最後尾編隊を狙わせた。帰り道だから気もゆるみ、 編隊も乱れがちである。
作戦はみごと図にあた って、圧倒的な高度差で帰投中のコルセア二四機編隊を奇襲した 林隊は、またたくまに 一八機を叩き落した。日本側 の未帰還は二機だけである。 」


……って、おいおい、空襲されるのをほっといて、それが済んだあとを狙うのかい(^_^;)。なんだかな〜……。本末転倒というか、成果第一主義の悪しき見本ではないか!? なんつって。
源田実って、航空参謀として真珠湾攻撃を指揮し、戦後は自衛隊の幹部、そして国会議員になった勝ち組だが、なんか世渡りうまそうなイメージが、こういうエピソードからも窺えるなあ。
でも、本としてはなかなか面白かった。戦争はアナログに限るなあ……と、しみじみ思ったのでありました(^_^;)