人前式

ところでその結婚式は、人前式というヤツだった。
みんなの前で誓いの言葉を読み上げ、参列者の承認を得る。
式場スタッフの完璧なマニュアルと進行により、
つつがなく終わったのだが、どうも二人の間に
だれもいないというのが頼りなく、絵柄的になじめない
感があった。
やっぱり神主さんか神父さんがいないと、落ち着かないのだ。
ふだんは無宗教のワタシでも、こういうときはなんでもいいから
神さまカモーンと内心叫んでいた。
それに結婚――つまり男女の結びつきって、人の力を超えた
偶然や見えない支配のようなものが働いている気がする。
結ばれた二人が添い遂げるのかいつか別れるのか、
これもまた神のみぞ知るところだ。
だから神道だろうがキリスト教だろうが、なんらかの
神が介在し、とりもつという形はごく自然に思えてしまう。


それに、人前式だと式の最後に参列者の承認を得る形に
なるわけだが(参列者は拍手で承認)、「オレは反対だ!」と
いうヤツがいないとも限らんぞ! と一応突っ込んでおこう。
いや、若い二人の門出にケチをつける気は毛頭ないのだが(^^;)。