早くも決定

Tジョイ大泉で「ハドソン川の奇跡」を見る。
原作を読んだときは、例の事故を中心に描きつつ、主人公の
パイロットの半生を随時挿入していく展開……などと想像して
いたのだが、大ハズレだった(^_^;)。
物語の骨子は、機長の責任をめぐる、一種の法廷劇のような
展開にあった。
なるほど、単なるヒーロー談にはしないぞと。さすがハリウッドの
シナリオライター、目のつけどころがシャープであります。


それにしても、155人の乗客全員の命を救ったのに、責任を
追及されてしまう……という裏話は知らなかった。
不時着水の迫力ある見せ場とともに、そのあたりが一種の
サスペンス劇仕立てになっており、回想シーンの効果的な
挿入によって、息もつかせない緊張感のある構成となっている。


ひとりの死者も出さなかったのに、こんなに責任を追及されるのか――という
理不尽な印象も受けるが、事実を徹底的に追及するというのもまた、
アメリカに息づく正義の精神ともいえる。
つまり、ヒーローの好きなアメリカと、正義を求めるアメリカという、
二つの精神性がぶつかる映画、ともいえる。


それにしても、緩急をつけたみごとな演出と構成。
イーストウッド監督ははずさない。
某誌の「プロを描いたプロの映画」という批評は、まさにピッタリだ。
トム・ハンクスはあいかわらずうまいが、副操縦士を演じた
アーロン・エッカートは、いかにも副操縦士という感じで(?)、
はじめていい役者だと思った(^_^;)。
というわけで、早くも今年のベストワン決定!