蛇足のラスト

朝日の別刷りに、映画「駅」の記事が。
「駅」といえば、八代亜紀の「舟唄」が印象的に
使われていて、ある意味歌謡映画の最高傑作だと思う。
高倉健倍賞千恵子が大晦日の飲み屋で、「舟唄」の
流れる紅白歌合戦を見ているシーンが心にしみる。
記事は最後に「幻のラストシーンがあった」なんて書いてある。
高倉健倍賞千恵子との苦い別れのあと電車に乗るが、
札幌に着いたら、いしだあゆみが待っていた……というシーンだ。
筆者はこれを増毛の観光案内所で聞いた、と書いているが
ワタシなんぞ公開当時に知ってたぞw


映画を見た当時、感動さめやらぬまま、
雑誌「シナリオ」に載っていた倉本聰のオリジナル脚本を
読んだところ、上記のシーンがあって、
思い切りのけぞったものだ。
「こりゃねえだろ(笑)」「オイオイやめてくれよ(゚o゜)\バキ」
「ムチャクチャ虫がいいじゃん~~~!!!」と脳内が阿鼻叫喚に。
一緒になろうと思った女に振られ、傷心を抱いて帰ったら
未練を断ち切れない元の妻が待っていた……なんて、
あまりにも男にとって都合が良すぎて脱力する。
それまでの感動が水の泡、百年の恋も醒める思いだった。
たぶん、これを読んだ監督かプロデューサーが直しを
求めたんだろう、映画は余韻嫋々のラストになった。
倉本聰でも、こんなミスというか計算違いするんだなあ……と
驚いたものだ。


ちなみにあの映画で一番驚いたのは、高倉健の故郷の
雄冬という町。増毛からフェリーで行くもんだから
てっきり離れ小島かと思っていたら、じつは陸続きだったので
ビックリした。いまはトンネルが開通しているらしいが、
さすが北海道、秘境っぽいなあと妙に感心した。
ちなみにいま思いついたのだが、
増毛の沖合は、増毛灘というんだろうか?w
(セルジオ・メンデス……古くてスマソ)