ざんげの値打ちもない(?)

「藝人春秋」で紹介されていた「おこりんぼ さびしんぼ」
山城新伍)を読む。著者と関係の深かった、若山富三郎
勝新太郎兄弟の話。とくに若山の破天荒なエピソードが面白く、
映画がまだ元気だった頃の熱気というか、愛すべき異界の
雰囲気に魅せられる。
「総長賭博」の緊張感みなぎる演技、「緋牡丹博徒」などで
バイプレーヤーに回ったときのコミカルな一面、「子連れ狼」の
迫力ある立ち回り……いわゆるアクターズ・スタジオ出身みたいな
演技ではなく、生理として皮膚感覚で演じている、というタイプの、
根っからの役者だった。


子連れ狼」の第二作だったか、学生の頃、池袋の二番館で
タダ見したことを思い出した。すでにそこで一度見ていたのだが、
後日、若富のあまりの迫力に、最後の立ち回りシーンだけ
もう一度見たいと思ったのだ。
そこは終映20分前くらいになると、チケット売り場も閉まり、
従業員もいなくなることを、ワタシは知っていた。
つまり勝手に入っても分からないということで、金のない学生
だったワタシは、そっと人目を忍んで入場。
鳥取砂丘とおぼしきロケ地で、大勢の敵を相手に斬って斬って
斬りまくる若富の迫力のクライマックスを楽しんだのでありました。
ちょっとハラハラしたのは、若富の殺陣の迫力だけではなかった
ことを付け加えておこう……まあ時効ってことで(^_^;)。