時の流れに身をまかせ

最近見たツタヤの高すぎ新作は、当たりが多い。
アメリカ映画「6才のボクが、大人になるまで。」も
大当たりだった。
ある家族の、12年間にわたる歴史を描いたドラマで、
同じ俳優が12年間にわたって同じ役を演じ続けた、と
いうのがすごい。
つまり主人公の6歳の男の子が、最後には大学に入る年に
なっている――という、気の長い実験的な映画である。


母親の再婚、新しい家族づくり、初恋、独立と、とくに
目新しい話はないのだが、細かいディテールの積み重ねに
リアリティがあって、まるで本当の家族の歴史につきあって
いるような気になる。
軽薄にみえた父親(イーサン・ホーク)が、だんだん人間として
成長していくプロセス。がんばり屋さんだが、息子の旅立ちに
取り乱して、喪失感に襲われる母親(P・アークェット)。
時間の重み、時間というものへの愛おしさがじんわりと
伝わってくる。
そのためにも、3時間近い長さは必要だったのだろう。


リアリティといえば、6歳の頃あんなに可愛かった主人公が、
最後にはすっかりブサイクな(?)大人になってしまう……というのが
この映画の最大の驚きであり、皮肉ではないだろうか。
これはスタッフもたぶん想定外であったろう。
まあ人生って、思ったようにはいかないよなあ……としみじみ
思うのでありました(^_^;)