発見

BSで「麦秋」を放映していたので、つい見てしまう。
原節子がやっぱり綺麗だ。


小津の映画は見るたびになにかしら発見があるのだが、
今回は戦後のベビーブームで子どもが増えた、という描写の
入っているのに気がついた。
鎌倉の笠智衆の家に、子どもが大勢集まって騒いでいる。鉄道模型を走らせながら、
まあ賑やかなこと。映画の製作が昭和26年だから、目に見えて子どもが増えてきたのが実感される頃だったのだろう。
ちなみに、私が大阪で小学校に入った頃、子どもが多いので
授業が二部制になり、昼から登校したことを思い出す。


終盤の、原節子淡島千景が喋っている場面。
原節子とお見合いするはずだった男が淡島の料亭に来ているというので、
抜き足差し足で見に行く……というあたりが、ちょっとしたスリリングなシーンになっているのが面白い。
結局、どんな男なのかわからないままなのだが、こういうシーンを入れるあたりが映画的呼吸という意味で、うまいなあと思う。
驚くほど、手数の豊富な映画なのだ。


別にどうということもない話なのに、ついつい引き込まれてしまう。
見るたびに、何かしら発見がある。年取ると、その深みがよりわかるような気がする。
まさに、小津の魔法使い……?(^_^;)