岬は遠いか?
今年読んだ本で、かなり上位にランクされるのが「あの胸が岬のように遠かった」(永田和宏著)。
熱く、性急で、誠実でありたくて傷つけあった――。
「二人の人を愛してしまへり」――没後十年、歌人の妻が遺した日記と手紙300通から
夫が辿り直す、命がけの愛の物語。(Amazonより)
……というような内容。
その夫婦の恋愛の経緯を、残された日記や手紙から再構成している。
タイトルは、「あの胸が岬のように遠かった。畜生! いつまでおれの少年」という永田の歌から採っている。
20前後の青年の煩悶とか苛立ちがよく伝わってくる。
いい歌だとは思うのだが、個人的にはちょっと納得しかねるところがある。
それというのも、私の田舎は瀬戸内の海沿いで、ちょっとした観光地の岬があった。地元の人が、なにかというと気軽に訪れるところで、私など、よく自転車でひょいと行ったものだ。
だから、「岬のように遠い」という比喩が、あまりピンと来ないのである。
まあ、「あの胸」は、宇宙の果てくらい遠かったけどね(^_^;)
ちなみに、この時期の河野裕子の代表歌ともいえるのが、
「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうにわたしを攫つて行つては呉れぬか」。
この強気、迷いのなさ。あんたは与謝野晶子か!?
いやあ、この年頃は女のほうが精神的に成熟してるなあ、と感心した。
ともかく一気呵成に読んだ、面白い本でありました。
いまなぜこのヒト?
ついこの間まで、ダイアナ・クラールばかり聴いていたものだが、いまはエンゲルベルト・フンパーディンクだ。
YouTubeでオススメとして出てきたので、つい懐かしくて聴いてみたら、ハマってしまったという次第。
「リリース・ミー」、「ラスト・ワルツ」、「愛の花咲くとき」、「太陽は燃えている」、「クワントクワントクワント」など、どれもイイ!
気がつけば、YouTubeでもYouTubemusicでもAmazonmusicでも、このあたりばかり聴いている。うちにいても自転車に乗っていても、ついフンパーディンクをかけてしまう。
フンパーディンクといえば、トム・ジョーンズと並んで、英国2大むさくるしい男性歌手(?)のひとりだ。
最近も歌っているようで、ライブの動画もたくさんネットで見られる。年取ったなあ……と思ったら、それもそうだ86歳とか。
昔は脂ぎった中年男のセクシーな魅力で女性をとりこにしたイメージだったが、いまはそうした色悪の雰囲気を漂わせつつも、なんだかふっきれてさっぱりした印象。
まあずいぶんモテただろうから、いつ逝っても悔いはあるまい(^_^;)
それにしても、1日の大半をフンパーディンクを聴いているって、どうよ?
わかった! こういうのを「エンゲル係数が高い」というんだな、きっと(^_^;)
ブロックにアタック(?)
最近、ローレンス・ブロックの本にハマっている。
アメリカの作家で、サスペンス小説、探偵小説の分野では巨匠とされているらしい。
ここに至るまでの道のりは長かった。
まずは9月初めにブラピ主演のアクション映画「ブレット・トレイン」を見たのがきっかけ。けったいな日本描写などツッコミどころは多かったが、「キル・ビル」風の味付けとして楽しめた。
原作は伊坂幸太郎の「マリアビートル」で、伊坂風のテイストが意外にも映画に息づいており、そうだ伊坂もいいなと、久しぶりに読むことに。
それで殺し屋の話「AX」を読んだ。この解説で、伊坂がブロックの影響を受けている――と書いてあったので、こんどはブロックを読む気になった。
「AX」と同じ殺し屋の話「殺し屋ケラー・シリーズ」を読み始めたらこれが面白く、「殺し屋」、「殺しのリスト」、「殺しのパレード」、「殺し屋最後の仕事」、「殺し屋ケラーの帰郷」とたちまち5冊を読破。
いまは私立探偵が主人公の「マット・スカダー・シリーズ」にとりかかった。これは17作ほどもあり、ほかに「泥棒バーニイ・シリーズ」(11作)、「快盗タナー・シリーズ」(8作)などもあるので、当分退屈せずに済みそうだ。
というか、生きてるうちに全部読めるか心配なんだが。
というわけで、きょうもブロックをアタック中であります(^_^;)
近況
●たまたま昔のブログを読んでいたら、「トップ・ガン2」の私案が!
(2006年4月、BSで「トップ・ガン」見て)
「そういえば、続編は作らないのだろうか。
トップ・ガンの教官になったトム君、ケリー・マクギリスとも
別れ、鼻っ柱のつよい候補生の指導に手を焼き、最後には
テロリストの基地を攻撃して戦果を挙げる……なんてベタな
話を見たいんだけど(^^;)」
これって、「トップ・ガン マーヴェリック」そのまんまなんだけど(^_^;)。オレって先見の明があるなあ。ひょっとしてトム・クルーズはオレのブログを読んでいたのか?(←マサカw)
まあこの程度のことは、だれでも考えるってことだけど(^_^;)
●大作家のミスを発見するのは楽しい。
最近「竜馬がゆく」(司馬遼太郎)を読んでいるのだが、そのなかでこんな表現を見つけた。
「竜馬は、声に笑いをふくんで怪漢の前へ殺到して行った」(第2巻・P71)
殺到というのは、たくさんの人や物が押し寄せるという意味なので、主語は複数名詞でないとおかしい。しかし、司馬センセイくらいの巨匠になると、だれも指摘しないんだろうな〜。
村上春樹「1Q84」の「ヘミングウェイが屯していたような酒場」という表現を思い出した。
●三鷹、吉祥寺のツタヤが閉店
まさにサブスク時代を象徴する事件で、ちょっとビックリ。
三鷹の方は、火曜日に高すぎ新作が200円になるので、わりあい利用していたのだが。まあレンタルDVDのためにいちいち西荻ー三鷹を往復するのは、たしかにアホらしいという気はしていた。これからは、新作も配信で見ることにするかと。
ところで、なぜか西荻店が生き残っているのは、アナログな人が多いからか?(^_^;)
●キーンのサンダルをゲット
使いすぎてヨレヨレになっていたキーンのサンダルを、新らしいのに替えた。キーンの製品は値引きで買える店が少ないので、仕方ない正価で買うかと諦めていたのだが、たまたま吉祥寺の石井スポーツで扱っているのを知り、ラッキー!と喜んだ次第。
なぜなら石井スポーツはヨドバシカメラの系列に入ったので、ゴールドポイントカードが使えるのだ。つまり10%割引き。
いや〜、なんか非常にトクした気分だ。
もっともキャンプとかアウトドアは興味ないので、この先行かないとは思うけど(^_^;)
ダイアナ・クラール
最近、ダイアナ・クラールばかり聴いている。
wikiによると、「ダイアナ・クラールはカナダ出身のジャズ・ピアニスト、歌手。1990年代以降に最も成功したジャズ歌手の一人で、1999年から5度のグラミー賞を獲得した。夫はミュージシャン エルヴィス・コステロ」だそうな。
You Tubeのおすすめ動画を何の気なしに聴いたのがきっかけ。
ちょっとコワイ感じのおばさんだが、歌に味があるし、ピアノを弾く姿もカッコいい。すっかりハマってしまった。
とりわけカバー曲がいい。いまや「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」、「夢のカリフォルニア」、「スーパースター」、「素顔のままで」などは飽きるほど聴いたので、この人のオリジナルのような気すらしてくるほどだ(^_^;)。
仕事しながら、風呂に入りながら、そして自転車に乗っている時でさえ、iPhoneで流している……といえば好きすぎることをわかってもらえるだろうか。いやわかってくれなくてもいいんだが。
Amazonmusicなんかの印税の仕組みは知らないが、もし再生回数に比例して払われるのなら、ダイアナさん、「ここのところ印税がどっと入ってくるなあ?」と訝しんでいるに違いない(←まさかw)
36年ぶり
ユナイテッド・シネマとしまえんで「トップガン マーヴェリック」IMAX版を見る。36年ぶりの正統な続編だ。
冒頭のあの音楽と発艦の映像からして、早くも胸熱、感涙。
前作のいいところをオマージュとして押さえつつ、マニアならわかるネタもぐいぐい仕込んでくる。シナリオライター、いい仕事してます。
前半は若きトップガンたちの訓練と、マーヴェリックとの確執が。後半は極秘の任務に向かうチームの闘いが描かれる。
後半の展開は、やはりトム君がやってるだけに、さながら空のミッション・インポッシブルといったところか。というか「633爆撃隊」?……古すぎ?(^_^;)
とりわけ終盤の展開はご都合主義というかハリウッド的荒唐無稽さが感じられるのだが、まあ世界規模のビジネスを考えるプロデューサーとしてのトム君の心中を忖度すると、こういう展開になるんだろうな、と。
もう還暦というのに、トム・クルーズの不滅の若さ?がまたも印象的な一作だった。
字幕が戸田奈津子ということで不安だったが、さほど変なところはなかったので安心した。なにしろ前作ではカタパルトを「脱出装置」と訳してたもんなあ(^_^;)
36年も待ってよかった……とまでは言わないが、まあ大満足の正統な続編でありました。
というわけですっかりノリノリの帰途、iPhoneのYou Tubeで前作のサントラをかけて、気分はマーヴェリック! 電アシで千川通りを爆走したのでありました(^_^;)。同じことをやった奴が、全国に3万人はいると思うな〜。