「真珠湾攻撃総隊長の回想・淵田美津雄自叙伝」

……を読む。
映画「トラ・トラ・トラ!」で田村高広が演じた海軍中佐の自伝である。
あの映画のなかでは一番カッコいい役で、とくに攻撃隊を率いて
真珠湾上空に到達し、「全軍突撃せよ!」と命令を下すところは、
元ミリオタ少年としてはしびれまくったものだ(^^;)。


この自伝、ムチャクチャ面白い。
真珠湾攻撃を成功させた指揮官でありながら、戦後はなぜか
クリスチャンとなり、全米を布教して回る……という、
振幅の大きすぎる生き方に、頭がクラクラする。


しかし、やはり一番興味をそそられるのは、真珠湾攻撃のため、
あれこれ創意工夫を凝らし、猛訓練をするシークエンスだ。
鹿児島湾をパールハーバーに見立て、
高度わずか10メートルという超低空飛行で魚雷を投下する猛訓練。
深く沈まないよう、特殊なフラップを魚雷に付ける工夫。
とりわけ、最後の実射訓練のエピソードが面白い。
技量で上・中・下に分けた3機にやらせてみたら、
やはり下は失敗してしまい、前途に不安がたちこめる。しかし淵田は、
「確率でいうと2/3の命中率だ。攻撃機は40機、つまり40本の魚雷を
放つので、2/3の26本が当たれば戦艦群は仕留められるだろう」――と
判断して、訓練を切り上げたという。
(ちなみに、真珠湾では実際に26本当たったというからスゴイw)


いやあ、アナログな世界はいいですなぁ、と言いたくなるような
話である。ステルスやら自動追尾ミサイルやら、ハイテク兵器の
味気ない現代戦に比べて、なんというのどかさ(^^;)。
そしてプロジェクトXのようなドラマ性。
やっぱり戦争はアナログに限る……?(^^;)