永遠の0

永遠の0」(百田 尚樹)は、評判通りなかなか面白い小説だった。
特攻隊で死んでいった男を巡る、ミステリアスな展開。
意表をつく結末。最後には深い余韻を残す。
あの戦争の流れもよく分かるし、坂井三郎など実在の撃墜王
登場し、空戦の極意などが語られるあたりも面白い。
元ミリオタとしては知っていることばかりだったが、
なかなか楽しめる内容であった。
最も印象的なのは、戦争では、つねに若い者から死に追いやられて
いく、ということだ。この点は「仁義なき戦い」なども同じで、
若者には「せいぜいだまされるなよ」と言いたいところだ。


ところで、ある語り手が主人公のことを「プロフェッショナル」と
呼ぶ箇所がある。戦時中にそういう言い方はしないだろう。
この言葉が人口に膾炙するのは、1966年の映画「プロフェッショナル」
あたりからだぜい……と、つい細かいところが気になった。
ま、こういう誤りは、永遠に0とはいかないか(^_^;)。