放心状態。

今年の収穫としては、なんといっても「苦海浄土」全三部作を読了したこと。合計で1000ページ以上はある作品で、その読後感たるや、心地よい疲労感とか達成感とか解放感とかがないまぜになって、しばし放心してしまった。

こんな読書体験も珍しい。そして、こんな凄い作品を知らずに来た自分を恥じたものだ。石牟礼道子水俣病も、大学に入って浮かれていた?頃には世に知られていたのだが。

池澤夏樹が編纂した世界文学全集に、日本から唯一石牟礼道子を入れた、というのも素直に頷ける。

 

世界に通じる作品と思うが、ひとつ懸念するのは、方言の多さゆえに、外国人には豊穣なローカリティや土俗的な神話性が伝わらないのではないか、ということ。ドナルド・キーンさんでも、これは理解できないのではないか?

それが惜しいといえば惜しいが、そこにこそ日本語の豊かさがあるとも言える。

 

よくできたミステリなど読むと、「これは逆立ちしても書けない」と思ったりするが、こと石牟礼道子サンに関しては、そんな思いも不遜だと恥じ入ってしまう。

伝記やら関連本を読んでいると、才能も感性も存在感も人間離れしているので、はなから比ぶべくもない、と思ってしまうのだ。

なにしろ「言葉の巫女」(by加藤登紀子)という形容がピッタリ……「あちら側」の人にかなうわけがない(^_^;)

 

というわけで、これからは「知ってはいたが読んでない作品」を漁っていこう、と思ったりした。

そんなのありすぎて、頭がクラクラするけど(^_^;)