謎解き

別冊宝島新日本プロレス『伝説の40番』完全解明」を読む。
かつてレフェリーを務めたミスター高橋の語りおろしで、
数年前に出版されてファンに衝撃?を与えた「流血の魔術」の続編的内容。
リアルタイムで見ていた新日黄金時代の試合ばかりなので、無類に面白い。


当時、プロレスの「仕組み」については、みんなそれとなく分かっていて、
でもあからさまにインチキだとか八百長だとかいうのは野暮だという
不文律があり、大人の分別で「演出」を楽しんでいたものだ。
当事者が「やっぱりそうでした」と言うのはあまり聞きたくなかったが、
こういう内幕ものも、いまでは映画の製作裏話を知るようなものとして、
余裕をもって迎えられるようになった、といえるかも知れない。
プロレスファンって、なんと懐が深いんだ……?(^^;)


ワタシ的に一番面白かったのは、日本プロレス史上に残る超弩級迫力の
ハンセン-ジャイアント戦が、じつは打ち合わせが時間切れとなり、
どうなるか判然としないまま本番に突入してしまった……という話。
そういう不確定な要素が、ファンの予想を上回るノンフィクショナルな
凄みを生み出し、あの試合を伝説のものとしたのだろう。
大枠は決めても、細かいところはレスラーとレフェリーのアドリブに
任せる……これがプロレスの本道だろう。


ところで、いまもよく分からないのが、第一回IWGP決勝の、
猪木―ホーガン戦だ。猪木が一方的に仕掛けてあんな形に
なった……ということだが、簡単にいうと、じつはやられることにして、
本当にやられてしまった……ということではないかとワタシは睨んでいる。
だって、そう考えたほうが面白いではないか。
それにしても、25年たったいまでも、そんな謎解きを考えさせる
プロレス……他のジャンルにはありえない奥深さである。
いまのプロレスにそんなところがないのは、つくづく淋しい話だ。