散歩の効用

ほぼ毎日、公園周辺を散歩しているが、散歩には
いろんな効用がある。


コンビニに寄って立ち読みするのは、
情報収集のためだ。
決して芸能人のゴシップ記事をむさぼるように
読んでいるのではない。世間の動向にたえず目を
配っていなくては、モノ書きは務まらない。
ここでコーヒーを飲むのは、頭を冴えさせるためだ。
たいして歩いてもいないのに、さっそく休憩する
ためではない。ましてや、昼時に押し寄せる
女子大生をしげしげウォッチングするためでもない。
ついでに低糖質の100円前後のスィーツを選んで
食べるのだが、これは金がないからではない。
向かいにある有名なケーキ屋・アテ◯ウェイの
ケーキは、糖質が思い切り高そうだからだ。


女子大の正門にさしかかったとき、つい中を
のぞくのは、いやらしい気持ちからではない。
正面に見える本部棟が、建築史的に価値のある、
美しい建築物であるからだ。ついでに女子大生の
姿が目に入ってくるのは、仕方のないことだ。
それを過ぎて、別のコンビニに入るのは、さらに
多くの週刊誌や月刊誌をチェックするためだ。
たぐいまれな知的好奇心のなせるわざである。
ここには杉並区報を置いてあるので、持ち帰る
こともある(これは読んだあと、生ごみ
捨てるのに役立つ)。


そして、公園のジャングルジムでいつも
懸垂するのは、年のせいで硬くなった関節を
ほぐすためではない。
いつか冒険好きの考古学者にでもなった
あかつきには、崖からぶらさがるような危機に
遭遇することもあるだろうから、それに備えて
おくためだ。
ついでにベンチでごろ寝するのは、次回作の
構想を寝る、いや練るためだ。
なんだか家のない人に見られそうなことは、
気にしない。
公園を半周したくらいで帰るのは、年のせいで
疲れたからではない。「ごちそうさん」を見るためだ。


……などと、いろんな口実を考えながら散歩するのは楽しい。
ああ、日々是口実(^_^;)。